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● 鈴木大介ギターエッセイ パート60(2005年5月19日号)

やっと5月19日、エッセイ60アップにこぎつけました。5月12日に頂いていたエッセイです。まだ追われていまして、6月18日のエラボレーションの大介さん自作のチラシのアップもあって・・・すみません2~3日お待ち下さい。今日もレコーディングのためにスタジオにこもっている大介さんです。

 ある日のこと、ソプラノの天羽さんからご紹介していただいたNHKの村上信夫アナウンサーから電話があって、女優の土居裕子さんが金子みすゞの詩を題材にしたお芝居をするので、その音楽を担当することになりました。

 僕が小学校に通っていたのは1976~82年のこと。ですから微妙に金子みすゞさんが再発見されていなかった頃ですので、あまりなじみがなかったのですが、今は必ず教科書に登場するくらい、有名な詩人です。
 金子みすゞの詩は、いのちの大切さをうたったもの、よく知られた「みんな違ってみんないい」というフレーズのように、人の権利についての教育に役立つもの、つもった雪の、それぞれの層の気持ちによって、組織や集団の心理を描いたように思えるもの、と、いろいろな立場の人たちから共感を呼んでいるそうです。

 広島からの帰り、少し足を伸ばして山口県は長門市仙崎にある金子みすゞ記念館におじゃましました。記念館だけではなく、金子みすゞの詩にゆかりの深いいろいろな場所に案内していただき、詩の世界観にふれることができました。

 クジラ墓は、仙崎の向いの青海島にあります。昔クジラ漁で潤っていたこの島には、クジラに戒名をつけて弔う習慣があり、クジラ漁の終わった現在にいたるまで330年以上も、変わらずに続いているそうです。

 青海島から見た仙崎。金子みすゞが大好きだった光景だそうです。戦後すぐ、大陸からの引き揚げした人たちは、下関などの大きな港が機雷封鎖されていたため、最初に仙崎に入港したそうです。

昔はこの入り江に鯨を追い込んだそうです。

仙崎と青海島の風景は、懐かしく感じられるのと同じくらい、神秘的でもあります。

そもそも、僕のCDを担当してくれているディレクターさんが、金子みすゞさんの大ファンで、彼からも「是非」行ってくるようにすすめられたのでした。不思議なもので、僕がいつも通っている西葛西の「梅ひさ」という居酒屋さんの、僕がいつも座っている席の真上の壁に、ずっと前から金子みすゞさんの詩がはってありました。