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● 鈴木大介ギターエッセイ パート12

う~~ん。公約は守られるのかも・・・この2年間で9本だったエッセイが、今年は、1ヶ月と半月で3本!!!
またしても次のエッセイが・・今回はライヴ情報です。今後が楽しみ。

鈴木大介コンテンポラリーライヴ計画始動!!!の巻

こんにちは。
おかげさまで「どですかでん」は売れ行き好調みたいです。
今年は新年からビッグ・イベント続きですが、今年の鈴木大介はスモール・イベント(裏稼業)も充実です。

昨年あたりから気にはしていたのですが、コンチェルトや大きなホールでのコンサートが続くと、どうしてもスタンダードな曲目からなるプログラムが増えてしまいます。それはそれで楽しいのですが、自分の練習部屋における密やかな楽しみとなりつつあるハイテンションな音楽たちを、このまま放って置いてよいものか?? よくよく耳をすませば、「外に出せ、外に出せ」とせがんでいるようでもある。そこで、今年から新たに大江戸線も開通した門前仲町の小さな小さな小屋で、定期的にコンテンポラリーな作品を中心にしたライヴを催すこととなりました。

で、今年のテーマはズバリ「Spanish Music In 20th Century」(ジャジャジャーン!!!)。

突然ですが第一回目は3月30日に以下のプログラムで開催です!

プログラム(順不同)
ヘスス・ヴィラ=ロホ:6つのPinceladas
ハビエル・モンサルヴァーチェ:3つの架空のファド
アントニオ・ルイス=ピポー:ティエントのためのティエント
フェデリコ・モンポウ:歌と踊り第13番
ホアキン・ロドリーゴ:3つの小品
ホセ・ムーニョス=モリェーダ:中世風細密画
Etc. 他

問い合わせ:門天ホール  03-3641-8275
     http://stella.m78.com/monten/
19時開演限定50席(ご予約はお早めに!!)

ヴィラ=ロホは最近MarcoPoloというレーベルから作品集が発売されて話題になっているスペインの作曲家・クラリネット奏者。近年ではロマンティックな作風のものもあるようですが、今回演奏する83年のギター作品はかなりアヴァンギャルド。ところが不思議と難解ではないのです。是非体験してみてください。モンサルヴァーチェの新作は僕の師匠のエリオット・フィスクのためにかかれた作品。ルイス=ピポーの作品は古楽のさかんなスペインを思い起こさせる、ティエントというルネッサンスの器楽曲がいつの間にか現代へとつながるタイムスリップもの。モンポウはギターのためのオリジナルで、有名なカザルスの「鳥の歌」をモチーフにしています。ロドリーゴは今年生誕100年なのでこれからも発表予定。ムーニョス=モリェーダは映画音楽なども書いていたスペインのロマンティックな作曲家。

日本ではほとんど演奏されない作品から、すでに作曲者の存命中から市民権を勝ち得ていた作品まで様々ですが、その多様な作風には目を見張るものがあります。
スペイン音楽といえば、とかくフラメンコ的な、アンダルシア地方のものがクローズアップされがちです。実際、スペイン本国においてもその傾向はあります。しかし、近年特に注目されているガリシア地方を中心としたスパニッシュ・ケルトの音楽。フランス音楽的な優美な感性にあふれたカタロニアの音楽。地中海の爽やかな風土を思わせるバレンシア地方の音楽、と、本来多種多様な文化のるつぼでもあるのです。
そして何よりも、スペインには16世紀の経済的繁栄を背景としたルネッサンスからバロックにかけての音楽の遺産が豊富です。織田信長のもとでキリシタン使節によって演奏されたのもスペインの音楽でした。そうしたルーツの上に、東西文化の混血がもたらしたスペインの現代音楽は、古風でもあり、モダンでもあり、ヒューマニティーにあふれるワールドミュージックなのです。

 と、以上のようなわけで今年は何回かにわたって神秘的で情熱と安らぎにみちた20世紀のスペイン音楽をみなさんと一緒に楽しんでいきたいと思います。あっと驚く小スペースなので予約してからいらしてください。