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● 鈴木大介ギターエッセイ パート61(2005年6月6日号)

6月18日、白寿ホール「ギターエラボレーション」のコメントが届きました。東京は今日は夏を想わせる暑さです。
コンサートに寄せる大介さんの熱い思いをぜひ!

こんにちは。
6月18日、第5回目を迎える「ギター・エラボレーション」は、「誕生」と題し、音楽が生まれるわくわくするような瞬間を、ご一緒に体験したいと思っています。

 音楽は、きっとむかしむかしに、とんとんと足を踏み鳴らすことにはじまって、祈りのための想いが声となり、やがて人間のもっとも誇るべき発明のひとつとなりました。
 「誕生」では、そうした音楽の発生を思い起こさせるような、生き生きとした作品や、火花の散るような音楽に焦点をあてています。

 バロックの作品は、波乱に富んだ生涯をおくったスカルラッティの、「Live Happily!」というメッセージが聞こえてくるような快活なソナタと、バッハの無伴奏チェロ組曲の最初の1曲。同じ年(1685年)に生まれていながら、自分が仕えたマリア・バルバラ王妃の為に書いた500曲以上のソナタによって名を遺したドメニコ・スカルラッティと、敬虔な神への憧れをいつも抱いていたバッハの対照が、どんな世界を描いてくれるのでしょう。

 また、ここ数年来、継続して取り組んできた武満さんの映画音楽を、初めてまとまった形で発表します。ひょっとしたら、編曲から、新しい音楽が「誕生」するかもしれません。
4月の「My Way Of Life」で演奏された「他人の顔のワルツ」以外は、実際の映画でもギターが使用されるなどして、ギターにゆかりの深い曲を選びましたが、今後はもっといろいろな曲を増やしてゆこうと思っています。
 
 演奏会の後半は、フランス様式と自国の民族音楽や様式を組み合わせて、まったく新しい音楽を生み出した二人の作曲家に焦点をあてます。
 
 フランク・マルタンは、スイスの作曲家です。管弦楽作品が有名で、エルネスト・アンセルメによって演奏、録音されました。カトリシズムの感じられる、または宇宙的とも言える作風により、ギターの為に書いた「4つの小品」では、バロック音楽の形式を用いて、静謐な祈りの世界が音楽になっています。
 
 ショパンを敬愛したポーランドのタンスマンの作品のなかでも、マズルカの楽しさをふんだんにちりばめたポーランド組曲は、演奏会を華やいだ雰囲気で締めくくってくれるでしょう。

 日々のリハーサルから起こる、作品に関しての想いや考えたことなど、ブログの方に「コンサートを楽しんでいただくために」というテーマで随時掲載しています。是非ご覧ください。

→→ http://daisukesuzuki.at.webry.info/theme/ddce9b8b61.html

 ご多忙の折とは存じますが、ご来場くださいましたら、とても嬉しいです。ご声援がよりいっそうの白熱をギターに呼び起こしてくれるはずです。