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● 鈴木大介ギターエッセイ パート45(2004年5月18日号)

いよいよギターエラボレーションシリーズが始まります。6月5日第一回目のプログラムのご紹介です。
チケットも残り少なくなりました。まだの方はお早めにメディア・カームまでお申し込み下さい。


こんにちは。
6月5日にHAKUJUホールで第一回を迎えるギター・エラボレーションのプログラム「巡礼」編が決定しました。

今回のコンサートでは、以前からあたためていたアイデアをもとに、多少従来とは異なった舞台づくりをしてみようと思っています。
「巡礼」というテーマは、この前のこのページにも書いたように、必ずしも特定の宗教や、儀式のような行為をさすだけではありません。毎日の静かな、あるいは全身全霊をこめた不断の積み重ねを、生きていくうえでの「巡礼」に置き換えて、様々な時代に生まれた音楽を通して、いくつかのエピソードを語り、コンサートが終わる頃に、連続したストーリーになっていくような構成にしてあります。みなさんは、昨年公開された「めぐり逢う時間たち」という映画をご覧になったでしょうか? 3つの別々の時代を生きる3人の女性の物語が、微妙にオーバーラップしていく話です。今回のプログラムはそういう感じに似ています。

リハーサルをしていると、どの作品の中にも、凝縮された道のりがあり、プログラム全体を通してみても、バッハとモンポウの二つの組曲が、出発と到達の縁取りをなしているようです。また、今回選んだ作品は、あるクライマックスに向かうタイプのものというよりは、瞬間瞬間が折り重なっていく中でおのずと姿が見えていくタイプのものだということも、特徴的だと思います。まるでそれは、目的地に行く間に、いくつもの街を通り越し、移ろう風景に眼をとめるうちに、寄り道さえ余儀なくされる旅にも似ています。飛行機や新幹線ではなくて、自分の脚だけを頼りに、空を仰ぎ見ながら進んでいくような道が辿り着く場所は、聴いてくださったみなさんそれぞれと、演奏した僕の気持ちの中に、ひとつひとつ生まれてくるのではないかと思います。
ギター・エラボレーション 第一回 Guitar Perspective vol.1 巡礼 プログラム

◆ ヨハン・セバスチヤン・バッハ:組曲ト短調 BWV1011

(原曲:無伴奏チェロ組曲第5番 ハ短調)
1.プレリュード 2.アルマンド゙ 3.クーラント 4.サラバンド 5.ガヴォット1&2 6.ジーグ

◆ マイケル・ホワイト:セファルディック・ライフ より

1.マーチング・ゲーム 3.ヘンルーダの小枝 4.アイ・フェル・イン・ラヴ・・・

◆ フェデリコ・モンポウ:歌と踊り

第10番 アルフォンソ王のカンティガによる
第13番 (鳥のうた)

◆ アグスティン・バリオス:大聖堂

◆ マイケル・ホワイト:セファルディック・ライフ より

5.美しき夜

◆ フェデリコ・モンポウ:コンポステラ組曲(自筆譜版)

1.プレリュード 2.コラール 3.子守歌 4.レシタティーヴォ 5.カンシオン 6.ムニェイラ