エッセイトップ  前へ 次へ

 


● 鈴木大介ギターエッセイ パート44(2004年4月16日号)

FM「きままにクラシック」の新しいパートナーとのシリーズも好調な大介さん、
このエッセイでご紹介のコンサートチケットはメディア・カームでも承ります。


みなさん、お元気ですか!

今日はコンサートのお知らせから。ギターの音が隅々まで響きわたる小さな会場で、ギターのために書かれた、あるいはギターで弾くことが極めて自然であるかのように感じられる編曲を施された最上質の音楽を聴いていただきたい、しかも1年に一回とかではなく、3ヶ月に一回くらい、僕の音楽を聴いてくださっているみなさんに、vividなライヴをお届けしたい、と常々思っていたのですが、その願いが、今回「ギター・エラボレーション」という形で実現しました。日程、プログラムはチラシをご参照下さい。毎回2週間くらい前には、演奏会の全体のプログラムをこちらのページで発表していきます。

ちなみに第一回目は、音楽が何百年にもわたって営んできた「祈り」とそれを捧げるための献身的な行いとしての「巡礼」をテーマに、モンポウの「コンポステラ組曲」の自筆譜版を中心にしたプログラムです。お遍路さんやサンチャゴ・デ・コンポステラに行かずとも、僕たちは毎日何らかの形で思考や労働を積み重ね、日々のわずかな達成にささえられて生きている、そのことも「巡礼」のひとつなのではないでしょうか。朝起きて会社に行く人、花に水をやる人、学校に行く人、ジョギングをする人、音階練習をする人・・・ひとりひとりの祈るような一歩一歩の生活が、もっともっと大切なはずなのです。

今録音中のCDのために、「裸の島」という映画を何度も見ました。水が湧かない島で作物を育てるために、毎日小舟で何往復もしながら水を汲み、一瞬で水を飲み干してしまう乾いた大地に柄杓で水をかけ続けます。見ているうちに、「巡礼」というのは、きっと何かを究極に象徴化して、生きていることの大切さを確認するために人間が考え出したものなんだ、と思えてきました。

2004年6月~2006年2月に渡り計8回

Hakuju Hallにて

さてさて、というわけで録音風景第2弾。今回は林光先生作曲ギター協奏曲「北の帆船」(2004年改訂版)でした。1993年に鈴木一郎さんのために書かれた作品ですが、今回はギターパートの響きやオケの速度指定などの変更の他に、第3楽章冒頭でのオケの追加などが施されました。スタッフ一同、素晴らしい作品に新しい命が吹き込まれる瞬間に感動しました。ストリングスは、以前ジャン・フランセのコンチェルトを一緒に日本初演したポートストリングス横浜のみなさん。そして指揮は寺嶋陸也さんでした。楽しかった!!